源泉徴収税の計算方法

甲欄・乙欄の違い、扶養人数別の税額、通勤手当の非課税限度額、令和8年の税率表を解説します。

1. 課税対象額の算出

計算式

課税対象額 = 総支給額 − 社会保険料 − min(通勤手当, ¥150,000)

総支給額

¥350,000

社会保険料

¥53,005

通勤手当(非課税)

¥12,000

課税対象額

¥284,995

通勤手当の非課税限度額: 月額¥150,000まで非課税です。超過分のみ課税対象に加算されます。例えば通勤手当が¥200,000の場合、¥50,000が課税対象に含まれます。

2. 甲欄(主たる給与)

適用条件: 扶養控除等申告書を提出している従業員に適用されます。1人の従業員が複数の勤務先を持つ場合、甲欄を適用できるのは主たる給与(1社のみ)です。

課税対象額 ¥740,000 以下の場合

国税庁が公表する「令和8年分 源泉徴収税額表(月額表)」を参照します。242行×9列(扶養0人〜7人)の表から、課税対象額と扶養人数に応じた税額を直接読み取ります。

課税対象額 ¥740,000 超の場合(累進税率)

以下の累進税率表を使って計算します。税額 = 課税対象額 × 税率 − 控除額(扶養0人の場合)

課税対象額税率控除額
~¥162,5005.105%¥0
~¥275,00010.210%¥8,296
~¥579,16620.420%¥36,374
~¥750,00023.483%¥54,113
~¥1,500,00033.693%¥130,688
~¥3,333,33340.840%¥237,893
~¥8,333,33345.273%¥385,686
上記超45.945%¥441,639

扶養控除: 扶養親族1人あたり¥31,667を税額から差し引きます(最小¥0)。例えば扶養2人の場合、上記で算出した税額から¥63,334を減額します。

3. 乙欄(従たる給与)

甲欄より大幅に高い税率が適用されます

扶養控除等申告書を提出していない従業員(副業・2社目以降)に適用されます。扶養控除の適用はありません。

課税対象額 ≤ ¥88,000

税額 = floor(課税対象額 × 3.063%)

課税対象額 > ¥88,000

税額 = floor(¥88,000 × 3.063% + 超過分 × 20.42%)

4. 甲欄 vs 乙欄 比較

月収¥350,000(社会保険料控除後¥280,000)の場合の源泉徴収税額を比較します。

区分源泉徴収税額
甲欄(扶養0人)¥32,727
甲欄(扶養2人)¥26,839
乙欄¥42,000+
甲欄(扶養2人)¥26,839
甲欄(扶養0人)¥32,727
乙欄¥42,000+

5. 扶養人数による税額の変化

甲欄・月収¥350,000(社会保険料控除後)の場合の、扶養人数別の源泉徴収税額です。

扶養人数源泉徴収税額備考
0人¥32,727
1人¥29,565
2人¥26,839
3人¥13,6563人目から大幅に減額
4人¥12,293
5人¥10,931
6人¥9,568
7人¥7,986

注目: 扶養2人から3人への変化で税額が約¥13,000減少しています。これは源泉徴収税額表の階段的な構造によるものです。

6. 通勤手当の非課税限度額

通勤手当額非課税額課税額影響
¥140,000全額非課税¥0税額に影響なし
¥150,000全額非課税(上限)¥0税額に影響なし
¥200,000¥150,000非課税¥50,000課税税額増加
¥250,000¥150,000非課税¥100,000課税税額さらに増加

7. 計算例

例A: 甲欄

甲欄・扶養2人・東京勤務

月収¥350,000

総支給額¥350,000
社会保険料控除−¥53,005
通勤手当(非課税)−¥12,000
課税対象額¥284,995
源泉徴収税額¥9,670

令和8年源泉徴収月額表(甲欄・扶養2人)より読み取り

例B: 乙欄

乙欄・外国人従業員

月収¥280,000

総支給額¥280,000
社会保険料控除−¥42,000
通勤手当¥0
課税対象額¥238,000
源泉徴収税額¥33,325

floor(¥88,000 × 3.063% + ¥150,000 × 20.42%) = floor(2,695 + 30,630) = ¥33,325

よくある質問(FAQ)

甲欄と乙欄の違いは何ですか?
扶養控除等申告書の提出有無で決まります。主たる給与(1社のみ)は甲欄を適用し、副業や2社目以降の給与は乙欄を適用します。乙欄は扶養控除が適用されないため、税額が大幅に高くなります。
外国人従業員は甲欄・乙欄どちらですか?
日本に住所を有する居住者であれば甲欄を適用できます。非居住者の場合は甲欄・乙欄ではなく、給与総額に対して一律20.42%の源泉徴収が必要です。
通勤手当はなぜ非課税なのですか?
所得税法第9条の規定により、通勤に必要な交通費は月額¥150,000を上限として非課税とされています。これを超える部分は給与として課税対象になります。
扶養人数が多いほど税金は安くなりますか?
はい。甲欄では扶養親族1人あたり約¥31,667が税額から控除されます。ただし乙欄には扶養控除の適用がないため、扶養人数に関わらず同じ税額になります。
年末調整と毎月の源泉徴収の関係は?
毎月の源泉徴収は概算での徴収です。年末調整で生命保険料控除や住宅ローン控除などを反映し、年間の正確な税額との過不足を精算します。多くの場合、還付(戻り)が発生します。

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